IT化とは?IT化をする必要性やIT化の進め方

IT化とは、これまでアナログで行っていた作業や業務をデジタルに置き換えていく作業のことです。たとえば、毎日紙の伝票と電卓を使って行っていた店舗売上の集計を、注文・会計システムの導入によって自動化、または半自動化してしまうといった変化のことを指します。

ただ、IT化に取り組んだことがない企業や、とくに売上や利益が落ち込んでいない企業だと、「コストをかけてまでIT化をする必要があるのか」と考えてしまうかもしれません。

そこで、IT化が必要な理由やIT化が推進されるようなった社会的な背景、名前だけのIT化と実際に効果のあるIT化を見極めるポイントなどを説明します。

IT化の目的とは

IT化とは、デジタル技術を利用して、少子高齢化やビジネスのグローバル化、コロナ禍などの非常事態に柔軟に対応できる体制づくりをすることです。

景気の動向や大企業の方針によって売上を左右されやすい中小企業を存続させるためには、早めのIT化が必要になってきています。

実際、経済産業省の調査によると、IT投資をしている企業とそうでない企業の間で、経常利益には約4倍もの差が出ました。また、IT投資をしている企業は、一人あたりの賃金も高く、労働生産性が高いということも分かっています。[※1]

アナログでやっていたことやITで置き換えられる作業をIT化することで、同じ作業をより短時間で終わらせるようにしたり、無駄な作業をなくして社員の負担を減らし、より売上や会社の成長につながる業務に集中できるようにするのがIT化の目的です。

IT化が推奨される3つの理由

時間効率の悪いアナログ業務を放置していると、社会の変化に対応できない企業として取り残されてしまいます。

IT化を進めるべき理由は主に3つあります。

①少子高齢化で労働人口が減るため

日本は少子高齢化が続いているため、労働者の数が減少しています。

単純に労働人口が少なくなっていく傾向ということは人手不足や人材難になりやすいということです。

IT化を進めることで、少ない人数でもそん色ない業務をおこなえるようにすることやIT化によってそもそも多くの人数に頼らずに運用できる体制を作る必要があります。

②グローバル化が進んでいるため

グローバル化が進んだことによって、ビジネスでも国や時間の垣根がなくなってきています。

海外にいる相手とやり取りをおこなうには、紙の書類を作ってFAXや書留で送付するよりも、メールやチャットでするほうが効率的です。

海外の相手ではない場合でもIT化を進めないことでやり取りに手間がかかる状態であれば、取引相手やビジネスチャンスを逃してしまうケースも考えられるので、中小企業ではIT化による迅速な対応を当たり前にしていく必要があります。

③多様な働き方を実現するため

IT化の推奨の背景には多様な働き方の実現を目指すという部分もあります。
地方在住や海外在住の人材を場所に縛られずに活用できると人材不足の問題の解決にもつながるからです。

また、新型コロナウイルス感染症の影響でより多様な働き方の実現は推奨されています。
実際、元々政府が推進していた日本のIT戦略も、コロナ禍の影響を受けた新しい働き方や生活様式に対応できるよう、2020年7月17日に変更することが閣議決定されています。[※2]

コロナ禍だからというわけではなく日本という国全体でIT化が進められている以上、IT化に乗り遅れた場合のリスクは決して無視できるものではありません。

IT化ができている状態は業務の多くをデジタル化していること

IT化ができているといえるのは、以下のような状態を指します。

社内外のやり取りをチャットツールなどで一括管理している
テレワークでも従来どおりの業務ができる
各種手続きをネット上で完結させている
新しいルールや技術、ソフトウエアの導入によって、従来の業務が楽になったり効率化していたりすれば、IT化の成功といえます。

業務効率化がされていなければIT化の成功とはいえない

中小企業がIT化を進めるにあたって、注意しておきたいのが、名ばかりのIT化をしてしまうことです。

たとえば、会計システムを導入したにも関わらず、発注書や領収書、経費の申請などを紙の書類でおこなっていると、結局社員が手作業で書類を作ったり書面をチェックしたりする必要があります。

社内のデータをまとめるクラウドシステムがあっても、社員が業務のデータを手元にダウンロードして更新していれば、ほかの社員や上司が作業の進捗やミスの指摘をすることができません。

また、データの個人管理を許すことで、データの破損や紛失、流出のリスクも高くなります。

企業がIT化をおこなう場合、これまでの業務を楽にしてくれるツールの導入とは別に、仕事の進め方を含む社内ルールの改定や社員の意識改革が必要不可欠です。

IT化は、実際に社員の働き方を効率化できるかどうかを考えて、順次進めていくことをおすすめします。

IT化は身近な業務から進める

中小企業のIT化に必要なのは、慣れていない人でも簡単に使える直感的なツールの導入です。どれだけ高機能・高性能なシステムでも、実際に仕事をする社員や経営陣が使いこなせなければ意味はありません。

また、多くの人が想像している以上に、人間は変化に対して強いストレスを覚えます。

「よく分からないから使いたくない」「これまでのやり方で問題なかったのだから自分は使わない」といった反発を招くと、導入してもツールを使ってもらえないので、まずは誰でも便利だと分かる手近な業務をIT化することも重要です。

日常的な業務の負担を軽減する部分から改革を始めることで、社員の拒否感を抑えることができます。